相場格言 ~投資判断に役立つ格言~相場格言 

はじめに

相場格言の古くは江戸期の米相場時代から伝えられてきました。

そんな『相場格言 』とは、米相場の先人達の教訓をもとに歴史の中で語られてきた投資の心得や知恵や戒め等を短い言葉にした金言です。

これらの格言は主に株式相場、為替相場の特性や人間心理を実に上手く表現していたり、それまでの経験から未来を見越した助言もありと投資の本質を表すものとして今でも高い人気があります。

ここでは『投資のタイミング編 〜投資判断に役立つ格言〜』に関する様々な相場格言を集めてその意味や伝えたい事を解説しています。

是非、相場投資のヒントとしてお役立てください。

麦わら帽子は冬に買え

麦わら帽子は本来夏に必要になるものですが多くの人が必要とする前の時期、つまり、冬のうちに買っておけ馬儲けが出るという考え方です。

これを株式投資に置き換えると、人が注目する前の多くの投資家が見向きもしない割安な状態の時に買えという意味の格言が『麦わら帽子は冬に買え』です。

そんな『麦わら帽子は冬に買え』は投資だけではなく物販の分野でも耳にする言葉です。

夏には麦わら帽子や水着、ビール等の売り上げが活発になり、逆に冬にはスキー用品等の売り上げが伸びます。

逆に、冬に麦わら帽子や水着等を買う人は少ない為、夏よりも低価格で購入できるのではないでしょうか。

株も同様に、投資家から注目されてない時期には比較的安値で買っておいて注目度が上がる時期に売却するのが負けない戦略となります。

また、このような季節株に限らず、有望株を見つけて先回りして購入しておく事は株式投資の鉄則の1つです。

噂で買って事実で売る

噂で買って事実で売る』とは、格言通り、買い材料の噂が出た段階で買って事実として発表された段階では売った方が良いという意味の株式市場においてよく使われる格言です。

相場は事実よりも先に噂や思惑で動くものの為、事実として公表された段階では既に株価に対して織り込み済みになっている場合が多いという事です。

噂は事実の全て、もしくは、期待も加わって先行すればするほど実力との乖離が大きくなる為、事実が明らかになった時の売られるインパクトが大きくなります。

つまり、噂で大きく買われた株は売られる可能性が高い為、信用売りのチャンスでもあります。

逆に、噂が悪い内容の場合はその逆となります。

知ったらしまい

知ったらしまい』とは、株価を上下させる材料があってもその材料は一般に広く知れ渡った時点で価格に織り込まれてしまい、値を動かす力はなくなる為、公になった時点ではもう遅いという意味の格言です。

相場は材料期待で上昇していてもその材料についての発表直後から下落に転じる事はよくあります。

株価には先見性があり、噂の段階であっても織り込んでしまうものの為、材料が発表された事で材料出尽くしとなるのです。

例えば、増配の決算が発表されたと企業の業績が好転してきては株価は業績が好転しつつあるらしいという段階で先買いされる為、既に織り込み済みとなります。

天災は買い向かえ

天災等のような突発事件に見舞われた際には狼狽売りが起き、その株はたいてい売り込まれ、悲観的なムードが広がる事が多いものです。

しかし、この格言は逆に株式市場での投資機会を表しています。

つまり、『天災は買い向かえ』とは、企業基盤さえしっかりしていれば市場が落ち着けば相場は回復する為、そこで狼狽売りをするのではなく絶好の押し目とみて買い向かう事で将来的に大きな利益を得る事ができる可能性があるという事を示す格言です。

したがって、『天災は買い向かえ』とは、悲観的な状況であってもそれをチャンスと捉え、投資を行う事を意味しています。

洪水台風買うべからず

相場において洪水や台風等の自然災害は一度発生すると周囲に大きな被害をもたらし、経済や企業の業績にも悪影響を及ぼす事があります。

それによって相場も大きな影響を受ける可能性が高くなるでしょう。

それに準じて、『洪水台風買うべからず』とは、相場が不安定な状況下での投資や取引の際にはリスクを最小限に抑える為に慎重な判断を行うべきである事を示している格言です。

遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り

相場において戦争が発生するという要因がある場合、その戦争が遠くの地域で起きる場合は戦争からは直接的な被害を受けにくく相場が上昇する傾向がある為、買いですが、逆に、近くの地域で起きる戦争は直接被害を受ける可能性があり、相場が下落する傾向がある為、売るべき(むしろ、投資は控えるべき)という事を説いた格言が『遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り』です。

これは遠方の戦争が相場への影響が限定的であり、戦争による需要が遠方からの供給である為に影響が一時的であるという考えに基づいています。

一方、近くの戦争は地域経済や供給状況等に直接的な影響を与える為に不安定要因となり、相場を下落させる可能性が高いとされています。

しかし、この相場格言は一般的な傾向を示すものであり、必ずしも正確に当てはまるわけではありません。

投資判断の際には他の要素との総合的な分析が必要です。

事故は買い、事件は売り

株価に直接的な影響を与える事故や災害等の予期せぬ出来事が起こった場合には株価が一時的に下落し、それを買い場と捉える事ができるという意味です。

一方で、相場に与える影響が長期的になる事件が発生した場合には株価が下落し、それを売り時とする事ができるという意味の格言が『事故は買い、事件は売り』です。

しかし、事件や事故がどの程度影響があるかは個々の事例によって異なる為、この格言をただちに適用するわけではありません。

投資判断を行う際には業績への影響を精査したり、相場の反応等を確認してから慎重に入る方が賢明でしょう。

しかし、この格言は株式投資のベテラン用の格言の為、株式投資を始めて間の無い人はあまり意識しない方がいいでしょう。

顔色の悪い社長の株は買うな

顔色の悪い社長の株は買うな』とは、株式投資で売買を行う際には顔色が悪く、病気をしているような社長の会社の株式は買ってはいけないという意味の格言です。

名は体を表わすといいますが同様に社長は会社の代表であり、会社の顔です。

顔色や表情が冴えない社長の会社にはあまり好印象は抱かないもの。

経営者の顔はその会社の勢いや経営状態を映し出す鏡といっても過言ではないでしょう。

投資をする際は会社の健康状態、しいては、社長の表情に精気や意欲が感じられるかは意外と重要なポイントといえます。

天狗相場買うべからず/おかめ相場に売るべからず

天狗相場買うべからず』とは、一般的に天狗相場は上げ相場に出現しやすく人為的な要素が大きいと言われ、人為的なものは長続きせず、結果サヤの修正が行われる事から買う事が難しくなるという意味の格言です。

一方、『おかめ相場に売るべからず』とは、一般的におかめ相場は下げ相場に出現しやすく人為的な要素が大きいと言われ、人為的なものは長続きせず、結果サヤの修正が行われる事から売る事が難しくなるという意味の格言です。

ショック安こそ、最大の買い場

ショック安こそ、最大の買い場』とは、相場に大きなショックがあった際に株価が急落し、多くの投資家が恐慌に陥る事がある一方でそのような時こそ大きな利益が得られる最大の買い場であるという意味の格言です。

つまり、ショック安状態になった時には信用で買っている人や現金が必要な人達が値段関係なく投げ売ってくる事で株価が下落し、その下落相場から株を安く買う事ができるという事を指しています。

適正な価格よりも安い値段になる場合があり、最大の買い場と言えます。

しかし、その時が一番底を探っている状況下であり、まだまだ下げる可能性もある為、底値を付けて反転するまで待つ方が賢明でしょう。

女房を質に入れても株を買え

株を買う絶好のチャンスはそう巡ってくるものではありません。

それに準じて、『女房を質に入れても株を買え』とは、そのようなチャンスに巡り合ったら中途半端な気持ちではなく思い切って買いなさいという意味の格言です。

これは株の売買をする時はいつも女房を質に入れているという事ではなく大切な奥さんを担保に差し出してお金を借りてでも株を買うというくらい強い気持ちで株を買いなさいという意味です。

保合いは、売っておけ

保合いは、売っておけ』とは、保ち合いの時は方向感がなく逆に離れると損失も大きくなる為、売っておきなさいという意味の格言です。

保ち合いから離れると早い動きの上に大きく動く傾向がある為、思惑で建て玉を持っていると逆に離れた時に大損になってしまいます。

それに準じて、具体的な投資判断は個別の状況や相場の状況に応じて考慮する必要がありますが保ち合い相場では売買せずに静観して動き出したら乗る事が得策です。

久しく動かざりし相場が動き始めたる時はこれを売るなかれ

久しく動かざりし相場が動き始めたる時はこれを売るなかれ』とは、相場が静かで長期間にわたり保ち合っていた相場から急に動き出した場合には上昇する事が多い為、逆に売りを行う事を避け、注意すべきだという意味の格言です。

つまり、相場が急に変動する場合には一時的な動きであり、トレンドが形成される前の保ち合いである事が多い為、早急に売るのではなく動きの真相を確認する必要があるという意味です。

一般的に、相場が一時的に活発化する場合、それは一過性のものであり、再び保ち合い状態に戻る事が多いものです。

この格言は長期的なトレンドの逆行としての相場の一時的な変動に対して慎重である事を教えてくれます。

保ち合い放れにつけ

保ち合い』とは、相場が小幅に上下して推移する事や動意に欠ける局面の事を指します。

一定期間そうした保ち合い状態が続くと相場は次のトレンドに向けてエネルギーを溜めるとされ、その保ち合いから相場が放れた方向にトレンドが発生しやすいとされる事からできた相場の格言の一つ。

そこで『保ち合い放れにつけ』とは、上放れたら買い、あるいは、下放れたら売ればよいという意味であり、要は相場の流れに追随するのがよいという意味の格言です。

保ち合いから相場が動いた場合はその方向に素直にトレードをする順張り戦法が有利である事を示しています。

大上放れ、大下放れは相場につけ

大上放れ』、『大下放れ』とは、保ち合い相場からのブレイクが大きく振れて現れる状態を指します。

長い間株価が方向を定める事なく保ち合い状態になっていた後、突然上下どちらかに大きく振れた時、何か異常な事が起こっているように感じてしまいがちです。

しかし、ここはそのまま株価の方向が決定したものと考えてその流れに従うべきだという意味の格言が『大上放れ、大下放れは相場につけ』です。

これはテクニカルでいうブレイクアウト手法であり、相場の流れに乗るという事で非常に理にかなった戦略と言えるでしょう。

一方、あまりにも長い保ち合いが続くとついつい待っていられなくなって自分の思惑で売買をしてしまうとギャンブルに近い投資になる為、相場の流れを見極める事が重要です。

出直り相場に逆らうな

出直り相場』とは、低迷が続いた後の上昇相場の事を指します。

この出戻り相場では長い間下落トレンドが続き、総悲観の状態だった為に戻りは売られる状況だったのが何かをきっかけに反転を始めて更に多くの参加者が認識した時には新規の買いと空売りの買い戻しを急ぐ為、大きな値幅と早いスピードで上昇していきます。

このような低迷が長く続いた後に反転して上昇する出戻り相場を売ってはいけないという意味の格言が『出直り相場に逆らうな』です。

出直り相場はしばしば一過性のものである為、ここでの逆張りの空売りはリスクが高く、買いは大きく儲けるチャンスなのです。

朝顔の花ひとつ時

仕手株相場は相場が激しく動く事から活気があり、一見華々しく見えますがその多くは朝顔の花のようにあっけなくしおれてしまう事が多々みられます。

仕手株の場合、仕手が入ったと一般投資家に分かった時点で大抵、仕手の本尊は売り逃げています。

その挙句、暴落した株をつかまされて涙にくれるのは一般投資家と言えます。

そのような羽目にならないように仕手株からは一歩距離を置き、絶対手を出さないようにしましょうという意味の格言が『朝顔の花ひとつの時』です。

新値にはだまってつけ

新値を付けるという事はトレンドが発生しているという事であり、また、その上値にはシコリもなく需給関係が良好な為、トレンドが継続しやすいものです。

それに準じて、相場がいったん新値を付けた場合は更にそれ以上の新値を付ける事が多い為、早まって逆張りを行う事は禁物でしょう。

つまり、『新値にはだまってつけ』とは、新値を付けた場合にはその流れに乗りなさいという意味の格言です。

しかし、不自然に吊り上げられた仕手株や材料が出て短期に急騰したような場合にはこの格言が当てはまらない事もある為、相場の反応を見極める為に冷静に観察し、判断する必要があります。

大相場には乗れ、常の相場には向かえ

大相場』とは、株式市場全体が大きな上昇傾向や上昇トレンドにある状況を指します。

バブル事の相場のように活気ある大相場の株価は何回も上下動を繰り返しながら着実に右肩上がりに上がっていきます。

そんな大相場では多くの銘柄が上昇し、利益を得る機会が増え、大相場に乗る事で含み益を最大化する事ができる為、積極的に買いに出るべきです。

一方、『常の相場』とは、相場が保ち合いや小幅な上下動を繰り返している状況を指します。

このような相場では銘柄の値動きが限定的であり、利益を得る機会が少ない為、常の相場では積極的に取引せず、待機や保守的な姿勢を取る事が適しています。

つまり、この『大相場には乗れ、常の相場には向かえ』は相場の状況に応じて適切な投資行動をとる事の重要性を示している格言です。

買い遅れる時は唯々買い場を待つべし

場中に全銘柄を監視し続ける事は困難であり、株価が既に上昇している状況でどうしても買い遅れる場面が出てきてしまいます。

そんな買いのタイミングを逃してしまった時には焦って買うのではなく押し目を待つ事が大切であるという意味の格言が『買い遅れる時は唯々買い場を待つべし』です。

相場は一本調子ではなく一時的な調整や上下に波を作りながら上昇していく為、焦って買うのではなく押し目を待って買う方が良い結果を伴います。

この格言は投資をする際に追いかけて買い入れるのではなく相場の状況や株価のトレンドを見極めて適切な買い場を見つける事の重要性を強調しています。

売るべし売るべからず

売るべし売るべからず』とは、売るべきだといわれる時は売らない方が良いという意味の格言です。

一般的に売るべきだと考えられている時には売りたくなるものですがそのような時は既にかなり売り込まれている事があります。

それに準じて、売らない方が賢明だという意味の相場の状況に応じて売買を行う時の重要な考え方を表しています。

常に相場の状況を注意深く観察しながら投資の判断を行いましょう。

下げの戻りは売るが街道

上昇相場が反転して下落相場に変わってしまうといくら反発を繰り返しても相場状況は変わらず、最後は決まって下がるものです。

つまり、『下げの戻りは売るが街道』とは、一定の勢いを伴う下落相場での戻りは大抵の場合下落相場に逆らえるほどのエネルギーはない為、そこは戻り売りしかないという意味の格言です。

この下落相場の戻りを上手く利用して順張りの売り建て玉を建てましょう。

初押しは買い、初戻りは売り

初押し』とは、株価が一度下落した後に急激に反発する事を指し、逆に『初戻り』とは、株価が一度上昇した後に急激に反発する事を指します。

初押しは買い、初戻りは売り』とは、相場が保ち合いから放れた後に上昇を始めた時の最初の下落、いわゆる押し目は絶好の買い場面であり、逆に、相場が保ち合いから放れて下落を始めた時の最初の上昇である初戻しは売り方の利食い戻しで下げの基調はすぐに変わるものでない為、絶好の売り場面となる事が多いという意味の格言となります。

いわば経験法則とでもいうべきものですがどのような場合にでも必ず当てはまるとは限りません。

例えば、本格的な上げ相場での初押しとか長い上げ相場に転換期がきて下げ過程に入った時の初戻りなどにはこの格言が有効となります。

それに準じて、この格言は短期の投資に当てはまる相場格言であり、長期の投資向けの相場格言ではない事に注意しましょう。

押目待ちに押目なし

押し目』とは、上昇を続けている株価の上昇が一服して一旦下げ、再び上昇していく時に生まれる一時的な下げの事を指します。

そんな押し目で買いたいけれど株価は上がる一方で「どうせ一本調子では上がるまい。一度は下がってくる時があるだろう。そこで買おう。」というのが『押目待ち』。

しかし、相場の勢いが強い時にはなかなか思惑通りには下がってくれないものです。

結局、そのまま押し目を見せず、一本調子に値が上がっていってしまって買いのチャンスを逃し、結果として高値掴みをしてしまったり、あるいは、ついには買いを諦めてしまう事で『押目待ちの押目なし』となってしまいます。

また、押目待ちの気持ちには最初買おうと思った値段にこだわる傾向があります。

それに準じて、仮に押目があったにしても小幅である時にはもう少しで自分の考えていた値段まで下がると考え、せっかくの買いチャンスを逃がす場合も多いのです。

押し目がない強い相場の時はロスカットをする覚悟をした上で買ってみるのも1つの手でしょう。

戻り待ちに戻りなし

押目待ちの押目なし』の反対の格言に『戻り待ちに戻りなし』という格言があります。

これは、下げ相場になって売り損なった人が少しでも高く売りたい気持ちから戻りを待ち、買った株価が下がる一方、「そのうちまた、上がってくるに違いない」と思い、その時に売りだというのが『戻り待ち』ですが、その期待も虚しく相場はどんどん下がり、ついに売れなかったり、大底で投げる羽目に陥ってしまう事です。

相場の基調が強い場合は、こうした売りを吸収しながら相場は上昇を続けますが、一方で相場の基調が弱い場合は、こうした売りに押されて相場の戻りが鈍くなる傾向があります。

実際、多くの場合戻り待ちの時には買い注文が少なくなり、かえって戻りを見せずに一本調子に値を下げていく事が多いです。

そうした思惑はずれを表現したのがこの『戻り待ちに戻りなし』です。

吹き値待ちに吹き値なし

吹き値』とは、相場が一時的に急騰して吹き上がったように上昇する事を指します。

吹き値待ちは含み損になっている時になんとか急反発をと願う投資家心理の現われでもあります。

建て玉が吹き上がってくれればこんなに嬉しい事はありません。

しかし、『吹き値待ちに吹き値なし』とは、吹き上がりやすい癖のある銘柄を買っても、あるいは、建て玉を抱えて吹いてくれるのを期待していても期待通りには吹いてくれないもので、相場は自分の希望や都合に合わせては動いてくれないという意味の格言です。

この格言は投資家に対して過度な期待や株価予測に基づく行動を避ける事を教えています。

吹き値は皆が待っている為、特別な材料でもない限りそのような相場にはなりません。

下り端を売り、上がり端を買う

下り端を売り、上がり端を買う』とは、相場の天井や底を見越してではなく確実に天井や底を打ってますます相場が反転した事を見極めた後の上昇、あるいは、下落の最中に仕掛けましょうという意味の格言です。

天井売りというのは天井を見極めてから売るものであり、見越して売るものではありません。

それは山の下付近を売るという事が必要であり、天井を確認して下った相場に売りを入れるものなのです。

同様に底も見極めて買うものであり、底を見越してから買うのではないものです。

落ちてくるナイフはつかむな

落ちてくるナイフを掴もうとした時、柄の部分ではなく刃をつかんでしまったら大ケガをしてしまいます。

安く買って高く売るは投資のセオリーですが急落時の投資は落ちてくるナイフを掴むようなものです。

このように株価が急落している時に買ってしまうとどんどん下がって大損してしまいます。

それに準じて、『落ちてくるナイフはつかむな』とは、急激に下がる状況で安易に手を出すと痛い目に合う場合がある為、様子見がおすすめという意味の格言です。

一方、落下中のナイフは危ないですが落ちきったところで拾えば安全という意味合いも持ち合わせた格言の一つです。

どんなに魅力的な銘柄でもナイフが床に落ちてから、つまり、株価が底を打ち、そこから下がらない事を慎重に確認してから投資すべきでしょう。

ナイフを手に取るのは床に落ちてからでも間に合います。

売りは迅速、買いは悠然

相場が天井をつけて下落に転じるのは短期間の間に起きる為、売る時は躊躇せず迅速な判断が必要であります。

しかし、相場が底入れし、上昇に転じるにはジリジリと上がっていく事が多く時間がかかる為、慌てず悠然と構えて取引しても遅くはないという意味の相場の上下動の原則の機微をとらえた格言が『売りは迅速、買いは悠然』です。

実際、相場では「下落のスピードは早く短命」逆に、「上昇のスピードは遅く期間が長い」とよく言われます。

一般的に下落相場のスピードが上昇相場より早い事からこの格言が生まれたのでしょうが全ての相場が必ずしもゆっくり上昇して急激に下落する根拠はありません。

売りは機会を見定め、迅速な行動を取る事が大切ですが買いはじっくりと動向を見守ってしまうとかえってそのまま上昇してしまい安い時に買えない事もあるのです。

買いたい銘柄が無くなったら売れ

買いたい銘柄が無くなったら売れ』とは、上昇相場が続いて自分が保有している銘柄が既に理想的な水準に達し、更なる成長が期待しづらい場合、売却する事を意味の格言です。

上昇相場が長期間続くと割安だった銘柄も割高まで買い上げられて上値余地も少なくなってきますし、新規の買い手も減ってきます。

それに準じて、高いと思いながら買うよりも相場の転機を待って売りで入ってみるのも良いでしょう。

しかし、自分が天井と思っていても上昇相場は続く可能性もある為、売りで入る場合は大玉ではなく打診売り程度で損切りを素早くする事が重要です。

野も山もみな一面の弱気なら、あほうになって買いのタネまけ

野も山もみな一面の弱気なら、あほうになって買いのタネまけ』とは、相場全体が総悲観になった状態にある時には阿呆になって買いなさいという意味の格言です。

今もこの投資法は基本中の基本であり、安い時に買い高い時に売る、誰もが分かる投資法です。

大半の人がまだ下がる、あるいは、まだ上がると恐れる時、賢明で勇気がある人は買いの種を蒔く人です。

一般的に相場が弱気の時には多くの人が売りを進める傾向にありますが、そのような状況で逆に買いに転じる事で価格が底打ち、上昇に転じる可能性があります。

底値は誰にも分かりませんがセンチメントが総悲観になった時にはリスクを覚悟して買う事も時には必要なのです。

万人が万人までも強気なら、あほうになって売りのタネまけ

これほど相場の極意をズバリといっている格言はありません。

万人が万人までも強気なら、あほうになって売りのタネまけ』とは、相場が総楽観の状態で多くの人が強気の時は阿呆になったつもりで売りなさいという意味の格言です。

実際、多くの人が強気でマスコミ等でも株の特集が組まれるような総楽観の状態の時の相場は天井に近づいている事が多いものです。

相場が上昇している時には乗り遅れてまいと飛び付いきたくなりますが相場が過熱してきた時には売り準備を整えて多勢の逆を狙ってこそ大成功の可能があるのです。

しかし、この格言通りに天井と思って売ったら大きく担ぎ上げられる事もある為、タイミングが非常に大切であり、天井を付けた後に売りを入れる方がリスクが少なく賢明でしょう。

また、『万人強気の時は、阿呆になって一人売れ』とも言います。

いつとても、買い落城の弱峠、恐いところを買うが極意ぞ

いつとても、買い落城の弱峠、恐いところを買うが極意ぞ』とは、大底を打ったと思っていながらこの先まだ下げるのではという恐怖心や疑心暗鬼で買う事を躊躇する事がありますがしっかりと買いの条件がそろっているのであればそんな時こそ勇気を持って買い向かうべきという意味の格言です。

相場に恐怖心が広がるような時こそ冷静に分析しチャンスを見逃さないような行動が求められます。

しかし、大底なのか下げの途中なのかは誰にもわかりません。

無鉄砲にここが大底だと思い込んで大きな資金を投入するのは控えるべきですし、そのような格言もあります。

突っ込み買いの吹き値売り

突っ込み買いの吹き値売り』とは、相場が大きく下落した時や突発的な出来事で急落した時に買って、逆に、大きく吹き上がるような上昇をした時は売りなさいという短期投資向けの格言です。

大きな変動をした時には戻ろうとする力が働く為、逆に張る事で儲ける事があります。

しかし、その変動が突発的なものなのか、それともトレンドが発生して更に進むのかを見極めないと損をしてしまう事になってしまう為、単に突っ込んだから買いというわけではありません。

二番底は黙って買え

二番底』とは、下落相場で一度底を打って好転した後に再び下落して底を打つ事を指します。

二番底は黙って買え』とは、この二番底を境に上昇トレンドに入る事が多いという経験則から「二番底は迷わず買いなさい」という事を表したチャートでいうダブルボトムの考え方を示した格言です。

実際、二番底を付けた後は買いで入りやすい事や相場参加者の多くが二番底後の買いを狙っている為、大底となりやすく売りの過熱感や反発の兆しがローソク足にも表れやすいものです。

また、大底の反発に飛びついて買いを入れるよりリスクもかなり抑えられ、大底を割ったところで損切りポイントを置けばいい為に多くの人にわかりやすい仕掛け場所になります。

もちろん、絶対に二番底の後は上昇するとは限らず、再び下落して三番底となる場合もある為、過信は禁物です。

しかし、実際に二番底の後は相場が上がるケースが多く見られる為、ぜひ覚えておくと良いでしょう。

若い相場は目を瞑って買え

若い相場』とは、長い保合いや下落して安値圏で放置されていた銘柄が上がり始めた時や長い相場下落の局面を過ぎて新たに上昇局面に転じた時を指します。

若い相場は目を瞑って買え』とは、相場が若い事が確認できたら上昇する可能性が高い為、躊躇しないで目を瞑ってでも買い仕込むべきであるという意味の格言です。

若い相場は保合いや安値圏で放置されていた事でシコリがなく需給関係が良好な為、上値が軽く、また、下値を何度も試していて下値不安が少ない事への安心感からの買いも入りやすい為、そのような銘柄が上がり始めた時には買いを仕掛けるチャンスなのです。

動きがなくなっている状態からトレンドの発生し始めた所が仕込み場所といえます。

不時に向え

不時』とは、イレギュラーな急変の事であり、『向う』とは、江戸時代の相場では逆張りの事を指します。

不時に向え』とは、突発的な材料が出て相場が自分の予測とは異なる方向に急変動した場合には、すぐに元に戻る可能性が高い為、相場に逆らって売買するのが良いという逆張り系の格言です。

相場の状況に合わせて柔軟な対応が重要であり、常に相場の動向に敏感である事が求められます。

上り坂の悪材料は買い、下り坂の好材料は売れ

上り坂の悪材料は買い、下り坂の好材料は売れ』とは、上昇相場でも下降相場でもどちらにしても相場の大きな流れの中では多少の反対の材料があったとしても流れを変えるには至らない為、「相場の大きな流れには逆らわずに乗れ」という意味の格言です。

大勢から見て上げ相場が続いている時はたとえ悪材料が出て下がっても押し目がある程度です。

逆に、下げ相場が続いている時は好材料が出ても大きな反発はなく小戻す場面がある程度です。

また、地合いが良い時には悪材料は無視して好材料だけに反応する場合が多く、逆に、地合いが悪い時には逆の動きになります。

もっとも上り坂か下り坂かは冷静な目で見る必要があります。

こういった格言が生まれた背景には相場には容易に読めない流れがあるからでありますがその流れを間違いなく見抜くには経験が必要でしょう。

悪材料出尽くしは買い

悪材料出尽くしは買い』とは、相場に悪材料が出て株価が下げて悪材料自体がなくなった時や悪材料の全てを織り込んだ時は相場が底堅く推移しだす絶好の買いのチャンス到来という意味の格言です。

この格言は投資家が相場の底値で安値で買いを入れるチャンスを捉える事を示唆しています。

次から次へと悪材料が最大限に織り込まれた状態にある下げが続き、我慢しきれなかった買い手のほとんどが諦めて投げ出してしまった時は相場の反発や上昇が期待できる為、逆に買いのチャンスなのです。

底値で上手く買える場合もありますが悪材料出尽くしと思って買いで入っても更に悪材料が出る場合も多い為、ここが底値と思えても打診買いから入るのが得策でしょう。

安値圏での悪材料発表は買い

安値圏での悪材料発表は買い』とは、安値圏を這うような時に悪材料が出た場合でも既にネガティブな要素が一部、または、全体的に反映されていると考えて株価の下落を限定的なものとみなし、買いなさいという意味の格言です。

つまり、相場の反応が悪材料を過度に評価していると判断し、逆張りの観点から逆に買いの建て玉を取るという意味です。

株価が安値圏にある時は悪材料が積み重なって買い気の全く起きないような沈滞ムードの時といえます。

下落相場が続いて売られすぎの水準まで下げ、売る人は既に投げ出して誰も欲しくないような安値圏の時に悪材料が出るとそれ以上売る人がいない事や見直しによる新規の買いと売り方の買い戻しも加わって、いわゆる売り材料出尽くしとして短期資金の買いも入り、思わぬ上昇をする時があります。

安値圏にいる株が材料にどのように反応したかのチェックをしておく事で儲けるチャンスも広がるのです。

逆日歩に売りなし、逆日歩に買いなし

逆日歩には売りなし、逆日歩に買いなし』とは、逆日歩が発生したような銘柄は新規の買いも売りも控えるべきだという意味の戒めの格言です。

信用取引には買い建てと売り建てがあり、買い建ては値上がりを待って売り、売り建ては値下がりを待ってその差益を得ようとするものです。

この場合、買い方は買い方金利を支払い、売り方は売り方金利を受け取りますが売り方の建て玉が買い方のそれを上回ると売り方は買い方に日歩を支払わなければならなくなります。

これが逆日歩です。

売りに対して買いが少なくなればなるほど逆日歩は大きくなり、売り方は窮地に立ってしまいます。

そこで売り方はたまらず高値を承知で買い戻す事になるわけですが当然ながらこの買い戻しによって株価はさらに高くなり踏み上げ相場となります。

とすると逆日歩は買いともいえそうです

事実、『逆日歩に売りなし』という格言もあり、目先的には決して間違いとはいえませんが、少し長い目で見た場合はやはり『逆日歩に買いなし』と見るべきでしょう。

つまり、買い方が売り方を締めつける事が相場本来の流れに逆らう動きと見ればその反動は必至というわけであります。

ストライキに売りなし

ストライキは一時的現象であり、会社の経営方針や経営理念が根本的に変わるようなものではありません。

つまり、『ストライキに売りなし』とは、ストライキにより一時的に生産能力が落ちても直に業績も落ち込む前の水準に戻ってくる事が多い為、悪材料として慌てて売る必要はないという意味の格言です。

ストライキは一時的な影響を与える可能性がありますが経済や相場への影響が限定的な場合は投資家は落ち着いて相場を見守る事が求められます。

最初の追証の時に売れ

最初の追証の時に売れ』とは、投げのタイミングとして最初の追証が撤退の時と警告してくれている格言です。

株式等の証券取引において証拠金維持率が一定水準以下になった追証を求められる時に関連する株式や投資対象を売却すべきであるという意味です。

追加証拠金を払うのではなく最初の追証発生時に投資対象を売却してしまった方が損失を最小限に抑えることができるという考え方です。

しかし、この格言は一般的なアドバイスであり、投資判断には各自の判断と情報が必要な為、注意が必要です。

一次規制に売りなし

一時規制に売りなし』とは、相場が上昇し、加熱してくると証券取引所が信用取引の委託保証金率引き上げの規制をかけて相場の過熱感を冷まそうとしますがその第一次規制の段階はまだ売りに出る時期ではないという意味の格言です。

一般的に、一次規制は相場の混乱や過剰な価格変動を抑制する為に行われるものであり、相場の安定を図る為に行われます。

一度過熱したものはすぐには冷えない事も多いからです。

しかし、ケースバイケースでこの格言通り一次規制後に更に上昇していく銘柄もあれば一次規制を転機に下げとなる場合もある為、規制がかかった銘柄の動向については細心の注意が必要になります。

兜町が静かな時に買え

東京証券取引所があり、金融機関や証券会社が多く集まる日本の金融街が日本橋兜町です。

この兜町が賑わうような相場が過熱した時ではなく、静かで閑散として落ち着いている時に株式等の資産を安く買いなさいという意味の格言が『兜町が静かな時に買え』です。

これは上昇相場が続いて過熱したような時に買うと天井掴みする事がある為、相場が冷え切って兜町が閑散としているような時の安値を拾えという意味の格言ですが安値のどの時点で買うかが重要です。

下げがまだ続いている状況の時に買うと買い値からはるか下に持っていかれて大損する事もある為、慎重に機会を伺う事が大切なのです。

株屋の増築、売りの好機

株屋の増築、売りの好機』とは、証券会社が社屋を増築したり立派な建物にするという事は証券会社は儲かっているという事であり、それは相場の天井を示唆しているとの連想から売り時であるという意味の格言です。

「証券会社が増築する=証券会社が儲かっている」、あるいは、「売買手数料が多く上がっている=株価上昇は既に成熟期、または衰退期を迎えており、そろそろ売り時である」という意味です。

証券会社の増築は全てが絶好の売り時というわけではありませんが相場は連想や予想に基づいて動く事が多い為、常に頭を回転させておく事が大切です。

おわりに

以上が、『投資のタイミング編 〜投資判断に役立つ格言〜』です。

昔から伝わる相場に関する格言を皆さんもどこかでお聞きになった事があると思います。

投資は人間心理のゲームとも言える為、その人間心理をついた格言が人々の心を打ち、長く言い伝えられてきているのでしょう。

現代は株式やFX、仮想通貨等、様々な投資が行われていますが何百年経過した今でも投資で心がけておくべきポイントや心理状態が投資に及ぼす影響が大きい事には変わりません

何故なら、米相場でも株式相場でも為替相場でも相場の最終判断をするのは人間であり、人間の心理は古今東西を通じて大きく変わっていないからです。

相場格言を知っておくと取引が上手くいかずメンタルが乱れそうな時に精神状態を立て直すのに役立つでしょう。

また、投資をしていると投資判断に迷ってしまう事も多々ありますがそんな時にもこの相場の格言に耳を傾けてみれば何か答えが見つかるかも知れません。

先人達が経験をもとに作り上げた投資格言を活用し、平常心で投資に臨んでいきましょう。

2023-12-02