相場格言 ~相場の特性に関する格言~

はじめに

相場格言の古くは江戸期の米相場時代から伝えられてきました。

そんな『相場格言』とは、米相場の先人達の教訓をもとに歴史の中で語られてきた投資の心得や知恵や戒め等を短い言葉にした金言です。

これらの格言は主に株式相場、為替相場の特性や人間心理を実に上手く表現していたり、それまでの経験から未来を見越した助言もありと投資の本質を表すものとして今でも高い人気があります。

ここでは『相場の見方 つかみ方編 〜相場の特性に関する格言〜』に関する様々な相場格言を集めてその意味や伝えたい事を解説しています。

是非、相場投資のヒントとしてお役立てください。

相場の事は相場に聞け

相場の事は相場に聞け』とは、相場の動きは誰にも分からず、相場の行方は相場だけが知っている為、相場の見通しが不透明な時には相場の流れをよく見て素直に相場に従うべきだという意味の格言です。

相場は人が考えている通りにはなかなか動いてくれない為、自分が下した判断だからといってこだわり過ぎたり、意地を張っていては大きな痛手を被る事になりかねません。

相場にこのような思いを持ち込む事は禁物と言えます。

しかし、相場は埋由なしに上がったり、下がったりしません。

そこで、相場が思わぬ方向に動き、見通しが不透明な時には相場は情報や意見が集まる場所であり、あらゆる要因を織り込んで動いていると考え、相場はどの方向に向かうのかと虚心に相場に問いかけてみましょう。

それが「相場のことは相場に聞け」の真意であります。

相場は円いもの

これは相場が常に循環する特性を指し示しており、相場は、安値→株価上昇→(強気転換)→高値天井→株価下落→(弱気転換)→安値→・・・の循環を繰り返しているものです。

相場は円いもの』とは、この循環が逆行しないのならばその動きに従えば誰でも安値で買い、高値で売る事ができるはずですが、多くの投資家は高値にならなければ出動しないで買うべき安値で投げていているという投資家心理の矛盾を説いている格言です。

つまり、相場の方向性を正確に予測する事は難しい為、相場の変動やトレンドの変化を常に注意深く監視しそれらの変化に柔軟に対応しなければなりません。

買いにくい相場は高い、買いやすい相場は安い/売りにくい相場は安い、売りやすい相場は高い

株式投資においては安いからというただそれだけの理由で株を買う人がいます。

むろん、相場全体の水準が極めて安いところにある場合にはこの投資方法でかまいません。

しかし、普通の時に特定のある株式だけが安値にあるからといって無条件で買うと思惑通りにいかない事が多いものです。

株価が安いところに置かれているのには事業そのものの見通しが立たず、業績推移が思わしくない、元来が人気のつきにくいものである等それなりの事情があるからです。

したがって、安値はいつまでたっても安値のままで放置される事になり、こういう株式を買うと長い間に飽きがきて、大抵は投げ出さざるを得ない羽目に陥ってしまいます。

一方、株価が高いというだけの理由で手を出したがらない人もいます。

なぜ高いかには安いものと同様にそれなりの理由があります。

高い株価には先行きの業績の伸び、それに伴う増資、増配等の要素を織り込んでの株価水準になっている事があり、そうした理由も考えずにただ単に高いというだけで敬遠していてはせっかくの相場にも乗れないという意味の格言です。

ここでは株価が高いと買いにくいという心理が働くものですが株価が高いという事は何らかの理由で買いが集まっているわけでさらに株価上昇がある可能性を孕んでいます。

その事を知っておけば高い株価でも買えるようになりますが株価が安いという理由だけで買おうとする投資家はこうした相場を自分のものにできません。

実はこういう相場で買えてこそこれまで取れなかった利益を取れるようになるのです。

売りにくい相場は安い、売りやすい相場は高い』は『買いにくい相場は高い、買いやすい相場は安い』の逆の格言であり、売り指値がすぐ成立してしまうような時は買いが多い為、株価は高くなる事が多いという格言です。

逆に、売りが多く買いが少ない時には売り指値をしても買い手がいない為に売りにくくこのような場合は株価は下げを続けてしまいます。

売り難きところが下がり、買い難きところが上がると知るべし

売り難きところが下がり、買い難きところが上がると知るべし』とは、相場というものは逆説的な動きをする事があり、上昇がまだ続きそうな雰囲気の時に反転下落し、逆に、下げ止まってないように見える時に反転して上昇するという相場の特性についての格言です。

自分が買いにくいと思える場面で無理に買うと逆張りになって逆方向に持っていかれる事があります。

それに準じて、あくまでも売買する場合はこの逆説的な動きを理解した上で相場の流れに乗る方が精神的にも余裕が持てますし、上手くいきやすいものです。

天井は割安、底は割高に見えるものなり

天井は割安、底は割高に見えるものなり』とは、相場は底値近くでは割高、あるいは、天井近くでは割安に見えるものであるという意味の格言です。

相場は人気づくと急伸し、まだ上がるような気がしますが実はまだ上がると思ったところが天井だったりします。

底では逆の錯覚が起こります。

このように天井でも底でも煮詰まってくると過熱感や過剰な弱気といった天底特有のバイアスがかかり、天井は割安に見え、反対に底値は割高に見えてしまうのです。

割安は割安ならず、割高は割高ならず/割り高に売りなし、割り安に買いなし

割安は割安ならず、割高は割高ならず/割り高に売りなし、割り安に買いなし』とは、相場においてある銘柄が割高であったり、あるいは、割安であったりする事はよくありますが株価が割高に買い上げられている銘柄を売ったりしても売りが多くなるわけではなく、逆に、割安に放置されているを銘柄を買っても買いが多くなるわけではないという格言です。

つまり、値ごろ感や単なる利回り採算だけで判定する誤りを戒めています。

割高に買われている銘柄はそれなりの理由があるから買われているのであって単に割高だからとその理由も見極めずに安易に売ってはいけません。

一方の割安で放置されている銘柄もそれ同等の何らかの理由があるのです。

割高、あるいは、割安の理由がわからない時ほど尚更慎重さが必要とされます。

安物買いの銭失い、安物は高物、価値あるものがものをいう

安物買いの銭失い、安物は高物、価値あるものがものをいう』とは、相場の低迷にはそれなりの理由がある為、割安と思って値ごろ感のある銘柄を選ぶと失敗する事もあり、あるいは、割高に見えてもその企業の持つ価値を見極めて投資先を選んだ方が長い目で見れば得をする事が多いという意味の格言です。

安い価格の商品や投資対象を選ぶ事は短期的には節約になるかもしれません。

しかし、安いと思って買った商品が早々といたんだり、気に入らなくなった経験は誰しもあるはずです。

株式投資にも同様にその経験を生かして高品質で価値あるものや投資対象を選びましょうという意味の格言です。

株価の割高安よりも株価に対して価値があるか否かを知る事が大切でしょう。

大保合いは大相場

大保合い』とはレンジ相場の事を指します。

大保合いは大相場』とは、相場が長く停滞し、上がりも下がりもしない保ち合い相場が長く続いた後に保ち合いを上抜けると大相場になる事が多いという意味の格言です。

実際、相場では長く長く停滞した後ほど大きなトレンドが生まれやすい為、理屈の上からいっても成り立ちます。

保ち合い相場の上限近辺は信用売り(空売り)をする投資家が多くなりますが保ち合いを上抜けてしまうと信用売りをしていた投資家が一斉に買い戻す為に株価上昇に拍車がかかる事で大相場になりやすいのでしょう。

保ち合いの放れた方へついて行くのは相場の流れに乗るという事で良い結果を生み易いですが保ち合い中に自分の思惑で売買する事はギャンブルに近い取引になる為、しっかりと相場の流れを見極める事が大切です。

押し目の浅い相場は大相場

押し目の浅い相場は大相場』とは、どのように強い相場でも一本調子で上がる事は無く、一時的な下落(押し目)がありますがその押し目が小さい上昇が続く相場は息の長い大相場に発展する可能性が高いという意味の格言です。

例えば、日経平均が大きく下落した日でも強い銘柄の下げは相対的に小さいものです。

下がると外国人投資家や大口投資家に底を全てさらわれてしまう為、深く押す事はないのです。

個人投資家は押しの深い銘柄を好む傾向にありますが押しの浅い銘柄の方に注目するべきでしょう。

大きく戻す相場の下値は浅い

大きく戻す相場の下値は浅い』とは、相場が急落した後に大きく戻る場合、その下落の幅が比較的小さくなるという意味の格言です。

このように急落後に大きく反転上昇した場合は下落の幅が相対的に浅い為、相場参加者が底値で買い戻しを行う事が多い事から更に下値を切り下げる可能性は低くなります。

下値の限界に来ていると判断してもよいという事を意味しています。

一方、このような下値の浅い相場では押し目での買い入れチャンスが多いと言われています。

材料のない相場は大相場

材料のない相場は大相場』とは、重要な材料や情報がない状況での相場は予測困難であり、大きな値動きを示す格言です。

相場が上昇基調にある時は特に好材料が見当たらなくても自然に相場は上昇し、後付けで材料が出てくるものです。

それに準じて、相場参加者は材料のない状況においても注意深く相場を監視し、チャンスを逃さないようにする必要があります。

逆に、材料自体を評価する相場はいずれ材料出尽くしによる反動に見舞われる為、得てして寿命が短くなってしまいます。

材料はあとから出る

材料はあとから出る』とは、株が急に上昇や下落した場合、実は好材料や悪材料があって後になって出てくる事があるという意味の格言です。

相場ではその株の内情や業界に精通している人達が材料を報道前に知っていて多くの人が知る前に買い上げたりするケースはよく見受けられます。

そのような時に飛びつくと上手くいく場合もありますが梯子を外されたりする場合もある為、理由のわからない急騰急落には慎重に対応した方が賢明です。

また、価格変動の要因の1つである材料が多くの人から注目されるのは必ず価格が動き出した後からであり、単なる後講釈の場合が多い為、あまり材料にこだわりすぎると相場の流れに乗り損ねる事にもなってしまいます。

材料が材料でなくなる時を知れ

材料が材料でなくなる時を知れ』とは、いくら好材料でも時間が経てば色あせて来るものである為、いつまでもその材料にこだわり続けるのは危険であるという意味の格言です。

その他にも経済指標や企業業績等の材料が相場で広く予想され、それが既に価格に反映されている場合、その材料はもはや相場にとって新しい情報ではありません。

また、複数の材料が同時に相場に影響を与える場合、一部の材料が別の材料よりも重要視され、相場の焦点がそれに移る為、それ以外の材料は取り上げられなくなる事もあります。

しかし、相場は予測不可能であり、材料がどのように評価されるかは相場環境や相場参加者の感情によっても左右される為、一概に材料が材料でなくなる時を把握する事は難しいでしょう。

材料に投資せず、需給に投資せ

一般に相場は材料によって変動すると考えられます。

しかし、相場を直接動かしているのは需要と供給のバランスであり、材料は需給のバランスを変動させる事で間接的に相場に影響を与えているにすぎない為、『材料に投資せず、需給に投資せ』とは、材料だけに神経を尖らせ、需給を軽んじる様な事があってはならないという意味の格言です。

材料が提示されたり、報告されたりしても相場の需要や供給が変わらなければ価格は大きく変動しません。

つまり、株価は一時的な好材料、または、悪材料で上下する事はあっても最後には需要と供給のバランスにしたがって決まっていくものです。 

板の厚い方へ動く

』とは、価格別の売買注文数量の事を指し、『厚い』は数量が多い事を意味しています。

一般的に、買い注文(板)が集中している場所は需要が高い事を示し、売り注文(板)が集中している場所は供給が高い事を示します。

株価はある価格の時に上と下で価格別の板の数量が多い方に動く事があり、時に、上の板の数量が多い時には蓋のように見えて越えられない値段のように思えますが、その大きい板を飲み込んで更に上昇する事が多々見られます。

しかし、常にそうとは限らず、そういった場合もあり得るといった気持ちで値動きを確認する観点も必要です。

機会は其の来るや処女の如く、去るや脱兎の如し

機会は其の来るや処女の如く、去るや脱兎の如し』とは、相場での儲けのチャンスは気付かないうちに訪れ、あっという間に過ぎ去るものであるという投資や取引におけるタイミングの重要性を示した格言です。

この格言は投資家や相場参加者が機会を見極め、迅速に行動する必要がある事を示唆しています。

現実世界でもチャンスの機会が訪れる事があるでしょうが過ぎ去ってしまうのも早い為、そのチャンスをしっかり捕まえる事はなかなか難しいでしょう。

チャンスを逃さずに素早く掴み取る訓練を日頃から行う事が相場に限らず重要です。

商いは買い手がいるうちにやれ

買い手がいるうちに』とは、流動性という買い手が閑散とする前にという意味と、直接的にその売り自体に価値がないという2つの意味があります。

相場が天井をつけると出来高は急速に減少するものです。

それに準じて、『商いは買い手がいるうちにやれ』とは、欲を出して利益確定を先延ばしにしていると売りたくても買い手がいないという事になり、折角のチャンスを逃してしまう為、買い手がいるうちにしっかりと利益を確定させておいた方が良いという意味の格言です。

しかし、商売は売り手と買い手で決まるわけであり、当たり前の話ですが人間には欲がついている為、現実はなかなか思うようにいかないものです。

一割、二割は世の変動、三割以上は人の変動

一割、二割は世の変動、三割以上は人の変動』とは、需給関係や経済情勢等で相場が1割〜2割程度動く事はよくありますが3割以上動くとなるとそれは仕手、あるいは、人気の偏りなどの人為的な行為によって反動が伴う事が見受けられる為、相場が上げ下げの1つの転機となる事が多いという格言です。

経済や政治の情報等の外部要因は一部の変動を引き起こしますが相場の変動は主に投資家の心理や行動に影響されるという事です。

つまり、『三割高下に向え』となるわけであります。

三割高下に向かえ

投資家というものは相場が上がればさらに際限なく欲望を肥大化させてしまうものですがその欲が災いして取れるものも取れないという結果に終わる事もしばしばあります。

そこで、あらかじめ目標を立てておき、何割上がったら後はどうあろうとも利食いしようという考え方があります

ただし、これは波乱含みの相場には通用しにくい面がある為、普通の穏当な値動きの時だけに応用すべきでしょう。

また、そうした個別の株式に対する戦法を教える他に相場全体の動きを把握する意味も持っています。

つまり、この格言の文字通り、普通の相場なら三割というところは上げにしても、あるいは、下げにしても1つの転機になる可能性が高い水準というものです。

したがって、『三割高下に向かえ』とは、株式投資においてある出発点から三割上がったところは売り、三割下がったところは買いの相場の向きとは逆の売買を行えば損をする事はないという意味の格言です。

また、この格言は三割まで我慢して待てという意味の他に、建て玉が上昇して買い値から三割も上がった株に対しては欲を出さないように売り抜けなさいという戒めの意味もあります。

いずれも、二割、三割の高下(高安)まではその相場の流れに従うのが自然というべきでしょう。

上昇や下落に対してあらかじめこのスタンスで臨めば余計な迷いも寄せ付けません。

通常の相場で投資資金効率を上げる為の格好な経験則が凝縮されたかなり実践的な格言といえます。

今日の高値は明日の安値/今日の安値は明日の高値

上昇や下落相場中の1日の現象を表している格言であり、株式市場や取引所において過去の価格動向を参考にする際に用いられます。

今日の高値は明日の安値』は上昇相場での、『今日の安値は明日の高値』は下落相場での1日の商いを切り取るとこのような現象になるという事です。

具体的には、過去の高値や安値が翌日の相場の価格に影響を与える傾向があり、明日の価格は今日の高値、または、安値近辺で推移する可能性がある事を指し示しています。

しかし、これはあくまで過去の傾向であり、必ずしも全ての場合に当てはまるわけではありません。

経済状況や市場の動向、ニュース等、多くの要因が価格変動に影響する為、十分な分析と慎重な判断が必要です。

全面高したあとの相場は怖い

相場が底入れして上昇に向かい始める時は多くの人が相場に対して自信を持っているわけではありません。

好業績等の材料を手掛かりにひと握りの先導役銘柄に買いが入り、それらの銘柄がある程度上昇します。

その後、それまで動いていなかった同業種の銘柄や発行株数の似通った銘柄、あるいは、同じテーマの銘柄等が二番手、三番手として上昇が波及していきます。

そして、出遅れ買いが広がっていくと最後は業績の伴わない銘柄までが割安となって循環物色され、最終的には全面高となる事がありますが、全面高後に一度調整が入ると、もはや、循環物色できる銘柄が無く、反動で市場全体が大きく下落する事になります。

このように、急激な下落や相場反転が起きるリスクが高まる為、『全面高したあとの相場は怖い』という格言が生まれました。

相場の過熱感には注意を払う必要があるという意味の格言です。

全面高した後の調整は支える銘柄がない為に厳しい下げとなります。

天まで届く相場はない

天まで届く相場はない』とは、永遠に上がり続ける上昇相場等ないという意味の格言です。

相場は常に変動し、上昇と下落を繰り返しながら徐々に上昇をしていきますが天井は必ずあり、天井を突きぬけて天空まで至るような相場はあり得ません。

人は相場が自分の予想通りに上昇すると気分が良くなり、冷静な判断ができなくなってどこまでも株価が上がるように錯覚してしまうものですが、いかなる景気もどこかで終焉を迎えます。

この格言は相場に過度な期待を持ちすぎず、冷静な判断を保つ必要がある事を教えています。

万人があきれ果てた値が高下の界なり

万人があきれ果てた値が高下の界なり』とは、誰もが呆れ果てるような価格まで買い上げられた時は天井であるという相場の上昇が終焉するタイミングを示した格言です。

また、『万人があきれ果てたる値が出れば、高い安いの境なりけり』とも言います。

相場が一方向に過度に動き、多くの人が驚きや悲観感を抱くような状況が生じた場合、その反転が近いという意味です。

バブルの時は多くの株がその後からでは考えられないくらいの高値まで上昇しました。

その後バブルは弾けて狂乱相場は幕を引き、当時の高値まで戻るのは数十年もかかる事になったのです。

狂乱相場に乗る事自体は問題ないのですが逃げなければならない時に逃げないと大損失を抱え込む事になります。

行き過ぎもまた相場

実力以上に買われて上に行き過ぎるとバブル、逆に実力以上に売られて下に行き過ぎると逆バブルという現象が起きるのが株式市場です。

相場はファンダメンタルズ(景気や企業業績、金利等)や人気(需要関係)によって決まります。

このファンダメンタルズはある程度計算できますが人気だけは予想外の事が起こりがちなのです。

噂が噂を呼んで人間心理がそうさせるわけですが、そういった行き過ぎも相場の一環である事と知っておくべきだというのがこの『行き過ぎもまた相場』という格言です。

同時に、行き過ぎがあればその分は反動を覚悟しなければならないという事も教えています。

物事には動があればその反動がある通り、株式相場では人気が過熱気味で上に行き過ぎた時にはその後の反動も大きくなりがちな為、注意が必要です。

いわば、妥当と見られた水準を上向った分だけ下げの時も予想をさらに下回る事になるのです。

したがって、色々な指標を見てこれ以上株価が高く、あるいは、安くなるはずはないと試算しても実際には株価はこの予想を上回って、あるいは、下回ってしまうのです。

人気相場は深追いするな

人気相場は深追いするな』とは、相場が人気だけに走り過ぎるとムード的先高期待の相場心理に支配されてしばしば行き過ぎを招き、人気が終息して天井を打つとつるべ落としの反動安に見舞われがちな為、深追いはほどほどにする事が大切であるという意味の格言です。

人気はいつまでも続かないものだという事でしょう。

特に相場の人気とはそれが利益が出せるものという絶対条件で支えられているわけの為、その条件が満たせなくなった相場はあっさりと見捨てられてしまいます。

人気の重みで株価が沈む

人気の重みで株価が沈む』とは、過度に人気が出て上昇した株や銘柄はその人気の為に逆に株価を押し下げるという意味の格言です。

この格言は相場の投資家に対し、盲目的に人気に便乗せず、冷静な判断をする事の重要性を教えてくれます。

人気が高まれば株価は上昇して割高な水準まで買い上げられますが上昇した事で短期資金や空売り筋も参戦してくる為、人気がなくなり、株価の下落が始まると早いスピードで下げていく場合があります。

人気株は夢や材料、人を引き寄せる魅力がある為、株の醍醐味でもありますが人気株ばかり売買していると大きな痛手を負う事が多くなるのです。

上がった相場は自らの重みで落ちる

上がった相場は自らの重みで落ちる』とは、相場は永遠の上昇等はなくいつかは必ず調整や反転をして下落するという意味の格言です。

特に高く上がった相場ほど落ちるのも早かったりするものです。

当初買った時の目標値を超えても上昇が続く為に欲を出して更なる上昇を狙って利食いをしなかったり、買い増しを行うと突然の急落に見舞われたりする為、当初の目標値や機を逃さず売り抜ける事が大切です。

相場では上がった分だけの反動が起きる為、その事を踏まえて準備しておきましょう。

陰極まれば陽転す/陽極まれば陰転す

陰の極』とは、これ以上下げようがないというような状態にまで株価が下落して出来高も少なくなった状態の事を指します。

一方、『陽の極』とは、出来高を伴って株価が上昇して天井を形成した状態の事を指します。

陰極まれば陽転す/陽極まれば陰転す』とは、相場の動きが一方向に偏りすぎると逆の方向に転換する傾向があるという事を指し示している経済や相場のサイクルを考慮する際に重要な格言です。

もうこれ以上は悪くなりようがないという意味で極と言われており、陰極(底)や陽極(天井)の状態は長く続かないものです。

相場は陰の極と陽の極の間を行ったり来たり繰り返しており、それは下落や上昇相場の転換期が近い事を意味します。

この両極の相場の最終局面を見極めて転換の好機を掴まえる事に儲けるチャンスがあるのです。

陰の極に買いの機あり/陽の極に売りの機あり

陰の極に買いの機あり』とは、株価が下げるだけ下げて更に売り物が出尽くした陰の極ではちょっとしたきっかけや好材料が出れば大きく反転上昇する為、買いの好機であるという意味の格言です。

一方、『陽の極に売りの機あり』とは、株価の上昇が続いて出来高も増え、更に我慢していた人達まで買い出した陽の極では些細な事で崩れる為、売りの好機であるという意味の格言です。

相場の傾向が極まると反転の可能性が高まる為、投資家はそのタイミングで戦略を練る事ができます。

煮え詰まれば動機づく

煮え詰まる』とは、陰の極、陽の極を意味します。

煮え詰まれば動機づく』とは、相場は上昇しては保合い、高値の限界に達すると下落へ転じ、逆に相場が下げて揉合いが長くなって底値を確認すればやがて上昇するのが相場の原理であるという意味の格言です。

相場が煮え詰まる状態から大きな変動が発生する事は度々あります。

店頭客があふれたら、相場の転機

店頭客があふれたら、相場の転機』とは、上昇相場が続くとそれまで株に興味のなかった小口投資家や一般の人々までが証券会社の店頭を訪れて株を買い出す時が相場の転換となる可能性が高くなるという逆張り系の格言です。

この格言は相場の過熱感を警戒し、調整や下落の可能性を意識する必要を示唆しています。

相場の転換点を示すサインとしては個人の動向以外にも書店に株を扱った書籍が増えたり、メディアが株高を煽りだす等があり、ちょっとした変化に気付く事も大切です。

実際、ここまでくると相場は過熱状態にあるのは明らかであり、だいたい上昇相場も終わりに近づいているものです。

鬼より怖い一文新値

一文』とは、穴の空いた一文銭といわれる昔使われていた最小単位の貨幣であり、今でいえば一円です。

新値』とは、過去につけた高値、あるいは、安値を更新する事を言いますがどちらかといえば高値の事を指します。

鬼より怖い一文新値』とは、ある銘柄が徐々に人気を高め、前回の高値を抜き、新値を付けたもののわずか一円更新したところで上昇が止まってしまうと二重天井となり、売りの圧力が強まって反転し、大きな下げ相場になりやすい為、注意が必要だという意味の格言です。

上昇相場が続いて新高値が近付いてくると新高値を取る事が目標になってしまう事で少し抜いた後に利益確定の売りも出やすく、また、反転して下げになった場合は高値近辺で買いついた向きの見切り売りも加わって大きく下落するケースがよく見受けられる為でしょう。

しかし、新高値はシコリがなく需給面での不安材料がない為、「新高値には素直につけ」という格言も反してあります。

恐怖が来るのは晴天の霹靂の如し

恐怖が来るのは晴天の霹靂の如し』とは、相場を揺るがすような暴落は予告なく突然やってくるものであり、いつ何時起きるかは分からない為、相場に雲一つ無く好調な時でも警戒を怠らずに心構えをしておく事が大切であるという意味の格言です。

相場が安定している(まるで晴天の中で)状況下で突然大きな下落が起こる(雷が落ちるような)事を指し示しています。

数年おきに大きなショックによって暴落する事があり、事前に暴落の兆候がある場合もあれば9・11米国同時多発テロのように突発的な事件による暴落もあります。

様々な場面を想定してできる限り対応できるようにしておく事が自分の身を守る事になるでしょう。

晴天を誉めるには日没を待て

晴天を誉めるには日没を待て』とは、相場が思惑通りに上昇している状況下で安易に利益を讃えるのではなく最後まで油断せず相場の終盤や最終的なトレンドの確定を待って判断すべきであるという意味の格言です。

朝、晴れていたからといっても夕方にならなければその日の天気はわかりません。

それと株式相場も同様に、相場の良し悪しも終わってみないとわからないものです。

波高きは天底の兆し

波高きは天底の兆し』とは、相場の天井や底では変動幅が大きくなる傾向があり、荒い値動きになり出すと反転の兆しであるという意味の格言です。

つまり、相場が荒れている状況は一時的であり、反転の兆しとなる可能性がある事を示しています。

天井付近では建て玉の利益確定売りや新規買い、あるいは、信用売りなどが増える為、値動きが荒くなります。

これは相場の底付近でも同様の事が言えます。

それに準じて、天井や底付近での荒い値動きや出来高の増加は反転の兆しであり、また、儲けるチャンスでもあるのです。

イレたらしまい投げたらしまい

イレたらしまい 投げたらしまい』とは、上昇相場で売り方が我慢できなくなって買い戻して踏み(イレ)上げ状態になったら天井が近く、下降相場で買い方が値段関係なしに投げ売りの状態になった時には大底が近い事を指す格言です。

相場の変動が予想外の方向に進んだり、自分の予想と異なる動きを見せたりした際に感情に左右されず冷静な判断を保ち続ける重要性を示しています。

投資や取引においては感情のコントロールが重要であり、イレたり投げたりする事ではなく冷静に相場の状況や自分のポジションを分析し、最適な行動を取る必要があるという意味です。

玉整理、知りつつ、自分も整理され

相場が高値をつけ、信用取引の買い残高が増えると一転して整理相場となる事があります。

そんな時、単なる玉整理だとたかをくくっていると自分の手持ち株もあれよあれよという間に値下がりしてしまうという皮肉な格言が『玉整理、知りつつ、自分も整理され』です。

相場が乱高下している時には自身のポジションや意思決定を整理し、冷静な判断を行う事の重要性を指し示しています。

相場の流れの変化をよく見て損をいかに最小限に食い止めるかがポイントとなるでしょう。

半値戻しは全値戻し

半値戻しは全値戻し』とは、下落相場の下落の起点から安値までの下落幅の半分まで値が戻った時は下落分を全部戻すほどの上昇となる可能性があるという意味の格言です。

この格言は下落相場からの立ち直り局面でよく耳にしますし、格言通りに全戻しする銘柄も多々あります。

一度下落した相場が一部戻る事で投資家やトレーダーの参加意欲が高まり、さらなる上昇が見られる事を示唆しています。

しかし、これはあくまで相場の一般的な動きの一例であり、必ずしも全てのケースに当てはまるわけでもなく、逆に下落途中で買った人達の売り物も増えてくる水準の為、半値まで戻した後の上昇力を見極める必要があります。

騰げは別々、下げは一緒

相場が上がる時は個別の銘柄や市場が個別に動き、上昇トレンドが広がる傾向があります。

一方で、相場が下がる時には銘柄や市場が何もかもが同時に下がる傾向があり、相場の上げ下げを現した格言が『騰げは別々、下げは一緒』です。

上昇相場は銘券の個別事情などによって引き起こされる事が多く、一方で下落相場は市場全体の不安や売り圧力が強まる事によって引き起こされる事が多いと言われています。

山高ければ谷深し/谷深ければ山高し

相場は大きく上がる時もあれば大きく下がる時もありますが、この上がった時を山、下がった時を谷といいます。

相場は上昇と下落を繰り返して山と谷をつくりますが、この山は高い時もあれば低い時もあり、谷も深い時があれば浅い時もあります。

その山が高ければ高いほど下落に転じた時は谷が深くなるという事を説いた格言が『山高ければ谷深し』です。

この格言は、株式相場は大きく急上昇する場合があるけれども高くなればなるほど必ずその後に大きく下落する危険がある事を教えています。

一方、相場の下げが深ければ深いほど上昇相場に転じた場合の山は高くなる事が期待できるという事を説いた格言が『谷深ければ山高し』となります。

この格言の反対を考えれば深く下落し続けた後には大きな上昇もあり得るという事になります。

このように、相場では行き過ぎた分だけの反動が起こる為、急激な動きを見せている銘柄にはその反動を覚悟して冷静な対応を迫られる事になります。

弱気が相場を作る

投資家全体が強気であれば多少の悪材料が出てきても大きく動じる事はありません。

しかし、『弱気が相場を作る』とは、投資家全体が弱気であると少しの悪材料に対しても狼狽売りがかさみ、相場が大きく動く事もあるという意味の格言です。

実際、相場参加者の悲観的な見方や売り圧力が高まると相場が弱気になり、下落トレンドが生じる事が多いものです。

つまり、相場の風向きやトレンドは売り方の動向に大きく影響を受けるという事を意味しています。

人も我もで相場は天底をつける

人も我もで相場は天底をつける』とは、相場参加者や投資家が心理的な恐怖やパニック状態に陥って相場が底値に達する事を指し、相場の循環や投資心理の特性に言及している格言です。

天井を打って相場が下落し続ける中で相場参加者が売りに走り、株価や価格が急落する事がありますが一定の水準に到達した時点で逆に買い意欲が高まり、相場は再び上昇に転じるという意味です。

つまり、個々の参加者が自身の利益を最大化しようとする意識が働き、相場は最低点を迎える事があるという事を表しています。

相場は人々の買い手と売り手の供給と需要に基づいて形成される為、相場が下落傾向にある場合でも冷静な判断を下してパニックに走らず、相場の底値付近で逆転の機会を見逃さないようにする必要があります。

冷水三斗で底が入る

冷水三斗で底が入る』とは、暴落時の相場は冷水を三斗(約54リットル)も浴びせられ、誰もが冷たくて身震いするような大量の売り物による厳しい下げがないと本当の底は入らないという意味の格言です。

一斗は一升の10倍で18.039リットルです。

冷水を54リットルも頭から浴びせかけられたら誰でも震え上がります。

そのような恐怖を伴った大きな下げになると多くの投資家が震え上がって投げてしまう為、底入れする事が往々にしてあるのです。

しかし、このような現象は一時的であり、根本的な相場の転換点ではない事に注意が必要です。

株価の里帰り/株価はもとの古巣に帰る

相場の動きにはサイクルやその銘柄本来の実体価値があります。

株価の里帰り/株価はもとの古巣に戻る』とは、株価が大きく上昇や下落をして手が出せないような状態になっている株もやがていつかは基本的な需給や企業の実績により、もとの古巣、つまり、過去の株価や実体価値の適正な水準に戻るだろうという意味の格言です。

つまり、株価の特性として上昇相場では過去につけた高値を目指し、下落相場では過去につけた安値に戻る事が多いといった株価の習性を言い表した格言です。

相場でも大きな材料が出て銘柄やセクターに資金が集まって考えられない水準まで急騰する事はよくありますが一時的なブームが過ぎ去ると時間をかけて戻ってくる事もよく見受けられます。

その反対に、ある高値から反落した株価がいつかまたその水準に戻ってくる意味も併せ持っている為、長期投資に徹すれば株式投資は損をしないという論拠がここにあるわけです。

しかし、これはある程度長期間にわたって見なければ当てはまりません。

戻ってくるとは誰にもわからず、半年先の場合もあれば3年先の場合もあります。

いつ思惑が外れた時の損切りは必要であり、この格言を鵜呑みにして損切りを遅らせる事は大損に繋がってしまいます。

鳥は古巣に帰り、 相場も古巣に戻る

鳥は古巣に帰り、 相場も古巣に戻る』とは、鳥が昼間巣から遠く離れていても必ず夜になると居心地のいい自分の古巣に戻るように、相場も一時的に何かの理由で実体から乖離した値動きをしていてもいずれ内容に見合った居心地のいい元の水準まで戻る傾向にあるという意味の格言です。

これは繰り返される市場心理です。

いくら人気化しても明らかに割高な場合は長続きしない為、深追いは禁物でしょう。

相場は値よりも日数

相場は値よりも日数』とは、株価や相場の動きを予測する際には価格の変動よりも日柄の経過が重要であるという意味の格言です。

つまり、相場の変動は短期的なものではなく、日柄の経過によって徐々に現れるという意味です。

上げ百日、下げ三日』、あるいは、『天井三日、底百日』等の格言があるように日柄を注意して見なければなりません。

この格言は長期的な視点で相場を見る事の重要性を訴えているものとして知られています。

上げ百日、下げ三日

上げ百日、下げ三日』とは、株価が上がるのは百日かかりますが株価が下がるのは三日とかからない為、それだけ下落は早いから注意せよという戒めの格言です。

つまり、下げ相場の下落の早さは上げ相場に比べてとてつもなく早いという事です。

実際、上げ相場の時は新規買いと利食い売りをこなしながら長い時間をかけてジリジリ上がりますが、需給面や悪材料が出た時の下だりは利益確定売りや損を少しでも減らそうと我先にと売り物がかさんで急落を伴って一気に下がり、あっという間に安値に達する展開になる事が多いものです。

天井三日 底百日

この格言は長期投資向けではなく主に目先的に小波動を狙う人が相場のサイクルとはそういうものだと覚えておくのに便利な株価の典型的な動きを示した格言です。

相場は基本的に一気に上がり、売ろうとする人が増えるとせいぜい三日で相場は下落してしまいますが一旦下落してしまうとその後は長い期間上げ相場になる事はない底百日となってしまうものです。

その感じを仮に日数で表現したものが『天井三日 底百日』、または、『天井三日 底三年』という格言になります。

この『天井三日 底百日』は、相場が急騰し、高値が続くのは三日ほどしかない反面、いったん下落してしまうと再び上げ相場になるまでには百日ほどの長い期間がかかる傾向がある事を指摘しています。

つまり、短期トレードをする場合には、利益を確定するのは天井三日=わずかな時間しかないという教えになります。

株価が高値にある期間は短く底値にある期間の方が長いという事の為、短期の売買をする人はこの相場のサイクルのなかでわずかの期間だけが勝負時だと知らなければなりません。 

相場に高下なく、十人が十人退屈の事

相場に高下なく、十人が十人退屈の事』とは、相場が保ち合いや大底百日の時に用いられる格言です。

このような相場では値動きが乏しく相場参加者にとっては予測や取引の機会が少なくなり、退屈な状態となる事を意味しています。

しかし、底での保ち合いになってくると得てして強気になってしまうものです。

そこで、売り方はなお勢いに乗って売り込もうとしてくるものですが相場はそうした時に逆に反発するものです。

小回り三月、大回り三年

小回り三月、大回り三年』とは、相場のトレンドは人気が出た事による目先の相場のトレンドは約3カ月、景気拡大による大相場になった場合は約3年は続くといった意味の格言です。

景気循環と株価の波動の経験則から生まれたものであり、トレンドの長さやトレンドの転換する時期を予測する際に取り上げられる事が多いです。

株式市場の動きにはある程度のサイクルが、短期的(小回り)には3カ月、長期的(大回り)には3年だとされています。

その期間の一応の目処を、格言では「小回り三月、大回り三年」といい、短期は3力月、長期は3年間を周期として考えるべきだとしています。

格言通りの周期が必ず訪れるわけではありませんがそのような大きな流れがあるという事を理解する必要はあります。

また、格言のサイクル以外にも銘柄独自にそれぞれ違ったサイクルが見られる事があり、その流れを早く把握する事も勝敗の大きな分かれ道なのです。

朝のこない夜はない、夜明け前が一番暗い

朝のこない夜はない、夜明け前が一番暗い』とは、相場で総悲観状態が長く続いてもいつかは必ず夜が明け、良い方向へ回復する朝が訪れる事になる為、今が夜明け前の暗い状態であるという下げ相場で建て玉の含み損にじっと耐えている買い方への慰めに近い格言です。

この格言は下げ相場が長く続いて市場参加者のセンチメントが総悲観に傾いている時によく取り上げられます。

しかし、誰にもいつ夜明けになるのかはわからないもので相場は予想もしない動きをする為、ポジティブに考えすぎず本当の夜明けを見極める眼力を養っていくよう精進していきたいものです。

仮に何を見ても一斉に弱気を示しているような下げ相場であれば、つまり、夜明け前が一番暗いといわれるようなそういう時期を感じ取って買いに回る、あるいは、上げ相場なら過熱状態になったら売りを狙ってみてもいいでしょう。

閑散に売りなし

相場が大きく上昇をした後、最初のうちは売買量が伴って多少は相場のエネルギーも感じさせるものの次第に振幅がなくなるにつれて商いが細っていき、相場が上にも下にも行かず、いわば無風状態の保ち合いになる事があり、ついにはパッタリと株価が動かなくなってしまいます。

株価が動かなければ売ろうにも、あるいは、買おうにも手の出しようがなく商いが減って閑散となります。

こういう状態が長く続けば大抵の人は嫌気がさし、持ち株があれば投げ出したくなるものです。

つまり、弱気色が市場に満ちてくるわけでありますがそこにつけ込んでわざと株を売ってくる人もあって相場は再び下げ歩調となります。

しかし、相場自体の総勢として下げたものではなくいわば人為的に売り叩いた結果としての下げの為、一旦売り物が一巡すると急激に反騰する事が多く、そこで長い保ち合い期間を我慢していた投資家が一斉に買い込み、売り込んだ人も買い戻すという事で思わぬ上昇相場を出現させるのです。

閑散に売りなし』とは、そういう些細な事で急反発する事もある状況でうっかり売り込む愚を避ける事を教えた戒めの格言です。

しかし、閑散相場でも更に下落する場合もあり、閑散=買いでも、あるいは、売りでもなく機会を伺いながら待つ事が賢明でしょう。

株価は頂上において強く見え、底で弱そうに見える

株価は頂点において強そうに見え、底で弱そうに見える』とは、株価に限らず相場全てに共通する格言です。

安い時こそ買うチャンスなのですがそんな閑散とした相場に人々の株式投資への関心は向けられません。

しかし、株価が上昇し、人気化して上がれば上がるほど株価が続けて上がるように感じられ、買いたくなるのが一般投資家の心理であります。

株価が高くなればなるほど相場参加者は強気一辺倒になって株ほど良い投資はないと思えてどっと相場に資金が流れくるのです。

この相場心理の特徴を把握し、逆張りのトレードを行う事が相場での成功に繋がる事があります。

幽霊と仕手は正体の分からないのがいい

幽霊としての正体の分からないのがいい』とは、株式市場では時折、株価や取引の背後に影響を与える要因や個人が存在しますがその正体を完全に把握する事は難しいという意味の格言です。

急騰した仕手株は仕手の正体がわからない方が様々な憶測を呼んで更に人気化します。

しかし、正体が明らかになると仕手筋の資金量やクセなどが見えてくる為、人気が剥げて相場が大きくなりにくいものです。

この格言は相場参加者が幽霊や仕手といった存在を恐れる必要はなくそれぞれの情報やトレンドにもとづいて取引を行う事の重要性を示唆しています。

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という川柳があり、幽霊と思っていたものが実は尾花(ススキの穂の事)だったという意味で、恐怖心や疑心暗鬼で物事を見ていると悪い方に想像が膨らむ為、何でもないものが恐ろしいものに見えてしまうという人間の心理を表現しています。

相場でも同様に、正体がわかると対応方法が見つかる為、わからないままの方が怖いものです。

株を枕に年を越せ

12月の相場は餅つき相場といわれ、相場は大きく動く傾向にあります。

この時、投資家は年末に換金売りや処分売りをしておきたい心理が働きますが新年相場はその反動で垢が落ちて軽くなっている上に祝儀相場で上がり易い事から株式投資を通じて利益を上げ、資産を増やしましょうという意味の格言が『株を枕に年を越せ』です。

株式市場は投資の機会が多い為、適切な戦略と情報を持っていれば成功を収める事ができるという意味が込められています。

おわりに

以上が、『相場の見方 つかみ方編 〜相場の特性に関する格言〜』です。

昔から伝わる相場に関する格言を皆さんもどこかでお聞きになった事があると思います。

投資は人間心理のゲームとも言える為、その人間心理をついた格言が人々の心を打ち、長く言い伝えられてきているのでしょう。

現代は株式やFX、仮想通貨等、様々な投資が行われていますが何百年経過した今でも投資で心がけておくべきポイントや心理状態が投資に及ぼす影響が大きい事には変わりません

何故なら、米相場でも株式相場でも為替相場でも相場の最終判断をするのは人間であり、人間の心理は古今東西を通じて大きく変わっていないからです。

相場格言を知っておくと取引が上手くいかずメンタルが乱れそうな時に精神状態を立て直すのに役立つでしょう。

また、投資をしていると投資判断に迷ってしまう事も多々ありますがそんな時にもこの相場の格言に耳を傾けてみれば何か答えが見つかるかも知れません。

先人達が経験をもとに作り上げた投資格言を活用し、平常心で投資に臨んでいきましょう。

2023-12-02