外国為替市場とは、通貨を交換、または、取引する為に存在する全世界の機関の総称です。
そんな外国為替市場はOTC(相対取引)相場となっています。
つまり、株式市場の様に日々価格変動に対する注文が集中的に処理されるような取引所や交換所、そして、取引所による規制は存在しない電子的な市場です。
世界中の為替ディーラーやマーケットメーカーが主にインターネット、コンピューター等の通信機器を介して24時間結ばれており、それらが1つのまとまった市場を構成しています。
それ故、その分散性と効率性から参入コストや取引コスト等が株式市場等と比較して大幅に削減されています。
公的な取引所が存在しない事でFX取引を敬遠する人がいるかもしれませんが、現在多くの国では政府が外為ブローカーに金融商品取引法に沿った厳しい規則や自己資本比率の制限を課す事で投資家やトレーダーを保護しています。
それに準じて、各国の金融庁による厳しい審査を通過し、登録を受けた業者でなければFXサービスを顧客に提供する事は出来なくなっています。
つまり、FXは金融商品取引法に守られた安全な金融派生商品なのです。
この様に世界レベルでグローバル化し、一投資商品として大きく発展を遂げたFX取引の背景には過去20年間にわたって外国為替市場が大きく成長した事にあります。
国際決済銀行が実施した中央銀行調査によると2001年には恒常為替レート換算で約1兆4000億ドルであった1日当たりの取引高が直近の2022年には約7兆5000億ドル(※具体的な数値は市場の活況や状況によって変動する)にまで増加しました。
そんな外国為替市場という世界最大の金融市場を舞台にするのがFX取引です。
FX取引を行うのに相応しい外国為替市場は、価格と出来高の透明性、流動性、24時間取引、安全な取引相手、公正で効率的な取引市場、安い取引費用..etc これらの特徴のほとんどを満たしています。
これから外国為替市場でFX取引を行い、利益を狙っていく
その為には先ず時代の変化と共に進化を遂げてきた外国為替市場特有のいくつかの特徴を認識し、考慮に入れましょう。
先ず、外国為替市場は大多数の期間におけるレンジ相場と極少数の期間におけるトレンド相場という株式や商品といった他のアセットクラスとはかなり異なる市場特性を持っています。
それに準じて、バブルと呼ばれる様な青天井に昇っていく相場はありません。
基本的に『レンジが8割、トレンドが2割』と言われており、外国為替市場の値動きの変化は株式市場で見られる様な綺麗な右肩上がりの正規分布をしているわけではないのです。
とはいえ、外国為替市場で一度トレンドが出現すれば一定程度のトレンド継続性が高く、FX取引は上昇相場でも下降相場でも為替差益を狙う事が出来る為、買いと売りを回転して経済合理的に資金増加を実現する事が出来ます。
主要通貨においてもボラティリティが高く順張りが功を成す事も多い為、ビギナーズラックで初心者トレーダーが勝つ事も多いものです。
また、24時間取引が可能である事、低い取引コストで、かつ、少ない証拠金で大きな取引が可能である事、選択可能なレバレッジ、スリッページや約定拒否が最小限に抑えられている事、豊富な流動性とテクニカル分析に最適な相場..etc
これらの特徴がFX優位性となり、多くの人々をFX取引に惹きつける魅力的要因となっています。
もちろん、魅力的な部分だけではなく危険性を帯びる点もいくつか挙げられます。
例えば、先進国等の主要通貨市場とは対照的に、非先進国、特に政府の介入権限が強く値動きに偏りが見られる非先進国の通貨市場では流動性が著しく低い為に外国為替市場の厳しい乱高下や不利な価格での執行を避ける事が出来ない為、FX取引を行うにはハイリスクであるといった事。
また、時として価格変動が行き過ぎた場合、特定の国の中央銀行が自国通貨の為替レートの安定化を測る為に単独or複数の国の中央銀行と協調して為替介入を実行し、一瞬で数百pipsもの値動きが突発的に誘発され、追証により負債を背負ってしまうリスクもあります。
このような外国為替市場の特徴は、一投資家、一トレーダーがコントロール出来る余地のないものであり、その特異性は外国為替市場独特の条件と歴史的に育まれてきました。
これまで見てきた様に他にも外国為替市場やFX取引の魅力的な部分、あるいは、リスクの面を挙げられますが、このFX基本編では外国為替市場でのFX取引が多くの人々にとってなぜ、それほど魅力的な投資商品であるのか、私が資産運用手段としてのFX取引をオススメしているのはなぜなのか、これらをさらに深く理解する為に上記に挙げた外国為替市場におけるFX取引の魅力的な特徴
- 24時間取引が可能
- 低い取引コスト
- 選択可能なレバレッジ
- スリッページや約定拒否が最小限に抑えられている
- 豊富な流動性
- テクニカル分析に最適な相場
- 上昇相場でも下落相場でも狙える
これら各項目の詳細を見てみましょう。
24時間取引が可能
外国為替市場と株式市場の決定的な違いは、外国為替市場には全体を管理をしている公的な取引所がない点です。
株式市場では主に証券取引所が全ての注文を扱い、仲介機能を果たす為、最終的に成立した取引価格だけでなくその前にある注文状況や注文量、成立した取引量等全てを把握しているのに対し、外国為替市場はインターネット、コンピューター等の通信機器を介して買いたい人と売りたい人のそれぞれが個々に取引を成立させる相対取引が主流になっている為、全ての取引を把握している取引所や組織もなく、現実にはどれくらいの取引が成立しているのか、正確な取引量、数字は誰も把握していません。
また、同時刻、同通貨ペアの取引であっても為替レートは各外為ブローカーによって異なる為、その約定価格も個々のFX取引によって異なります。
基本的に外国為替市場はインターバンク市場と対顧客市場の2つに分類され、対顧客市場、私達顧客がFX取引を行う為替レートはインターバンク市場の為替レートを基準に取引が行われます。
インターバンク市場は世界中の大手銀行や証券会社を中心に活発に取引が行われており、平日24時間稼働し続けています。
また、コンピューターなどの通信機器やインターネットを介して世界中の市場参加者が1つのバーチャルな市場を形成している為、どこの国、あるいは、どこの地域からのFX取引でもいつでも取引に参加する事が可能です。
それに準じて、外国為替市場は土曜日、日曜日と1月1日以外の日は基本的に常に取引がされており、FXも平日は原則24時間取引を行う事が可能である為、トレーダーは1日の時間枠の中の都合のあう時間に自由に取引に参加出来ます。
その為、現在では世界のどの地域であってもどこに居住しているかに関係なくトレンドの出ている通貨があれば全ての人にとって為替差益を狙える絶好のチャンスになります。
東京 | ロンドン | ニューヨーク | |
株式市場の取引時間 (現地時間) | 9:00〜15:00 | 8:00〜16:30 | 9:30〜16:00 |
日本時間 (夏時間) | 9:00〜15:00 | 1600〜030 | 22:30〜5:00 |
日本時間 (冬時間) | 9:00〜15:00 | 1700〜130 | 23:30~6:00 |
日本との時差 | ー | マイナス9時間 | マイナス1時間 |
低い取引コスト(取引手数料)
取引コスト(取引手数料)が極めて低い事もFX取引の大きな魅力の1つです。
外国為替市場はOTC(相対取引)的な構造にあり、純粋にインターネットを通じた電子的な市場。
それ故、取引所もなければクリアリングハウスもない為、それらの効率性から取引コストが安くなっています。
さらに、取引コストについては年々、各外為ブローカー毎に改善されて安くなっていく傾向にありますが、売買手数料を安くしてもトレード回数が増え、実際に売買した時に発生する手数料も増加する為、ブローカー側としても利益圧迫される事がありませんのでとても良い傾向です。
また、外為ブローカー同士の競争が激しい市場なので気配値提示には極めて競争力があり、FX取引の取引コストとなるスプレッドが狭い事も利点となります。
現在多くの外為ブローカーは24時間流動性を提供している為、日中でも夜間でも競争力のある狭いスプレッドを提示しています。
この取引コストの大幅な削減により、短期のトレーダーはよりアクティブに、より有利に、そしてよりアグレッシブにFX取引する事が出来るようになりました。
この取引コストの低さがFX取引を最高の投資商品にしています。
少ない資金で取引可能
FX取引は外為ブローカーに預け入れた証拠金にレバレッジを掛けて外国為替を取引する事が出来ます。
このレバレッジを使用する事で少ない投資元本でもより大きな金額で取引を行う事が可能となり、資金効率や投資対効果を最大化する事が可能です。
一般的に『レバレッジ』とは、『てこの原理』や『てこの作用』と要約されます
私達の身近な例で例えますとクレジットカード決済や銀行融資がそれに該当します。
前者であれば手持ちのお金が少なくても後払いが出来る事で自分の都合の良いタイミングで欲しい商品やサービスを購入する事が出来ます。
後者であれば他人資本を活用する事で自己資本に対する利益率を高めたりする事が可能です。
この様に他人の資本を使って自分の元手以上の取引をする事をレバレッジを掛けるといいます。
一方、FX取引においてのレバレッジとは、自己資金に対して何倍もの大きな取引規模で取引を行う為に外為ブローカーから返さなくてもよい借り入れを受けて取引を行う事を指します。
例えば、「ドル/円」が「1ドル=100円」の時に1,000ドル(1lot/10万通貨)の取引をするとした場合、本来であれば100円(1ドルの円価格)×100000通貨(1,000ドル)=100万円の投資元本がなければ1,000ドル(1lot/10万通貨)の取引をする事が出来ません。
しかし、FX取引はレバレッジ取引である為、総取引額の100万円の数%の証拠金を預け入れるだけで10,000ドル(1lot/10万通貨)分の取引を行う事が可能です。
つまり、自分の市場予測が正しく証拠金に適度なレバレッジを掛けていれば少ない投資元本でもその2倍、3倍、5倍といった利益を獲得する事が出来るのです。
この様に、投資の中でも特に証拠金で取引が出来るFX取引は自分の資金以上の金額の取引を行えるレバレッジという性質上、損益変動が激しくなると同時に損益が投資元本以上に膨れる事が理論的に可能な金融商品です。
しかし、レバレッジ取引を正しく理解した上でリスク管理、レバレッジ管理を怠る事なく実践すればFXは非常にWorking capitalが効率的な投資商品であるといえます。
FX取引と外貨預金の比較 | FX取引 | 外貨預金 |
手数料 | 無料 | 10,000ドルあたり2~8万円 |
投資出来る金額 | 自己資金の最大25倍(国内証券)~最大1000倍(海外証券)まで | 自己資金範囲まで |
為替変動で利益を出す機会 | 円安・円高のどちらでも | 円安となった場合のみ |
万が一預入先が破綻した場合 | 全額信託保全により保証 | 預金保険制度なし |
選択可能なレバレッジ
国内or海外に応じて選択出来るレバレッジは大きく変わってきます。
現在の国内の外為ブローカーは通常規模の口座に対して最大レバレッジ25倍と金融庁のレバレッジ規制によって定められています。
一方、海外のブローカであれば最大1000倍まで選択可能なレバレッジを顧客に提供しています。
この様に、国内の外為ブローカーは海外の外為ブローカーと比べてレバレッジ倍率が低く、40倍程の乖離があります
以下では、自己資金に対する取引量と必要な証拠金を国内と海外それぞれ見てみましょう。
- 国内外為ブローカー
1:25のレバレッジが設定されている場合、自己資金に対して最大25倍の取引が可能
この場合、10万円の投資元本で最大レバレッジの25倍をかけて取引を行う場合、投資元本10万円×レバレッジ倍率25倍=250万円分の取引を行う事が可能です。
10万円の資金にレバレッジ25倍を掛けると実際の資金は証拠金の25/1になる為、投資元本10万×25/1=4000円の証拠金が必要
- 海外外為ブローカー
1:1000のレバレッジが設定されている場合、自己資金に対して最大1000倍の取引が可能
この場合、10万円の投資元本で最大レバレッジの1000倍をかけて取引を行う場合、投資元本10万円×レバレッジ倍率1000倍=1億円分の取引を行う事が可能です。
10万円の資金にレバレッジ888倍を掛けると実際の資金は証拠金の888/1になる為、投資元本10万÷888/1=100円の証拠金が必要
上記の通り、基本的にこのレバレッジの倍率が高ければ高いほどより少ない資金でより大きな取引が可能だという事です。
つまり、レバレッジ倍率が高く、かつ、レバレッジ倍率を柔軟に選択可能な海外外為ブローカーは少ない証拠金で大きな取引を行う事が出来る為、必然的に資金効率や利益率が高くなる
これは少ない資金でもより堅実にFX取引で資産運用を行なっていきたいと考えるFXトレーダーや、反対に手っ取り早く資金を増やしたい短期トレーダーにとって極めて幸運な事です。
なぜなら、レバレッジが柔軟に選択可能であるという事はトレーダーはどのような取引数量(ロット数)でもFX取引が出来るからです。
つまり、10倍から1000倍までの幅広いレバレッジを選択して相場状況に合わせて臨機応変なトレードを展開出来るのです。
一方、レバレッジ倍率の低い国内外為ブローカーは自己資金に対する取引量も少ない上、FX取引に多くの証拠金が必要となり、少額からスタートしたい初心者や明らかに元手が少ないトレーダーにはハードルが高いというような感じです。
まとめますと、レベレッジ倍率が高く設定されている外為ブローカーでFX取引を行う方が少額の資金を大きく膨らませる事が出来るという点で有利であり、資金効率良くお金を増やしていけるという点で最も経済合理的という事です。
このレバレッジをどれくらい理解して使いこなせるかどうかでFX取引での結果は大きく左右されます。
スリッページや約定拒否が最小限に抑えられている
現在ほとんどのオンラインFX取引システムである即時執行可能な電子プラットフォームでは2Wayプライス(売値=Bit/買値=Askの両建値)をリアルタイムで提示しており、注文を入れれば即時に執行されます。
予想外の状況を除けばボラティリティが激しい相場状況でも変動の速い相場においても表示価格と執行価格には総じて差異はありません。
このように各外為ブローカーではリアルタイムに提示される価格によって成り行き、損切り、指値の各注文がスリッページもほとんどなく部分成約もなしに執行される事が保証されている為、スリッページや約定拒否率が最小限に抑えられており、FX取引の効率性が向上しています。
豊富な流動性
外国為替市場は24時間開いており、十分な流動性が供給されています。
そんな外国為替市場は特に世界の三大市場と呼ばれる東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場等の各地域タイムによって相場変動が著しく異なる傾向があるものの、株式市場や先物市場に見られるようなギャップもなく日本円を含む主要通貨の場合、値幅制限もない為、高い流動性を示しています。
したがって、事実上東京市場が開いた東京オープンからニューヨーク市場が閉まるニューヨーククローズまで十分な流動性が供給され続ける市場といえます。
もちろん、外国為替市場の朝である東京市場のオープン直後や外国為替市場の明け方となるニューヨーククローズの日本時間5時頃以降は極端に流動性が低下し、薄商い相場となる事も頻繁にあります。
しかし、それでも株式市場や先物と比較すると圧倒的に流動性は高いといえます。
この流動性の恩恵を受けて大手のオンライン外為ブローカーは時間外取引でも他のどの時間帯とも変わらない流動性と非常に狭いスプレッドを実現し、注文が即座に執行されています。
私達相場参加者にとっては誠に喜ばしい事と言えます。
この様に一定の時間帯によっては極端に流動性が低くなる事もありますが非常に高い時にはむしろ相場参加者が困惑するほどの流動性を示す時もあります。
テクニカル分析に最適な相場
外国為替市場は材料や値動きが豊富でありつつ株式市場や先物市場に見られるようなギャップもほとんどなく値動きが活発であり、利益機会も多い為、テクニカルトレーダーにとって最適な相場です。
とはいっても、外国為替市場全体取引量の80%以上が投機的な性質を持っている為、市場がオーバーシュートしたり、あるいは、往って来い等の変動後自律的に調整に入る事もしばしば見受けられます。
しかし、テクニカル分析は外国為替市場において良好に機能し、テクニカル分析を学んだトレーダーなら取引を繰り返す機会を提供する新しいトレンドや局面でのブレイクアウトや反発を容易に見極める事ができます。
ローソク足チャートはほとんどの外為ブローカーで利用可能であり、その他のチャートやテクニカル指標(トレンドライン、水平線、フィボナッチリトレースメント、移動平均線、MACD、ストキャスティックス、RSI…etc)は多くの相場状況で有効である事が実証されています。
上昇相場でも下降相場でも利益を得られる
FX取引では上昇相場でも下降相場でも利益を狙う事が出来ます
基本的にFX取引では、常にある通貨を買い(買い持ち)、同時にもう一方の別の通貨を売る(空売り)事になる為、相場に構造的なバイアスが存在しません。
その為、FX取引は日本の株価や不動産価格が暴落、不況..etc どんな状況でも差益を狙う事が出来る為、上昇相場でも下降相場でも利益を得られる可能性が同等にあるのです。
FX取引まとめ
これまで外国為替市場特有の特徴やFX取引の魅力部分について見てきましたが、FX取引は資産運用や投資の対象として今最も人気のある投資商品の1つです。
現在では多数の株式、あるいは、先物トレーダー等が取引対象に通貨を加えたり、FX取引専門に完全に乗り換えてしまうといったトレーダーも当たり前となってきています。
この傾向が現れた理由は代替資産クラスとしての魅力が増大したFX取引には株式や先物に勝る魅力的な特徴がある事を多くのトレーダー達が気付き始めたからなのです。
FXのリスク
FX取引は証拠金を元手に外国為替をレバレッジをかけて取引する金融派生商品です。
それに準じて、外国為替レート、金利、および、スワップポイントの変動、または、受け払いの逆転、各国の経済や社会情勢、金融政策、経済指標の数値の変動、外貨事情の急変、天災、地変、戦争、テロ...etc 特殊な状況下では特定の通貨の取引が困難、あるいは、損失が生じる場合がある為、投資元本、および、利益が保証されている金融商品ではありません。
また、預託した証拠金の額に比べて大きな金額での取引が可能な為、投資元本に比べて大きなリターンが期待できる反面、投資元本の損益変動率も大きく、状況により損失が預託した証拠金額を上回るリスクがあります。
なお、FX取引には、元本割れ、および、損失を抑える為の機能であるロスカットルールというシステムが各外為ブローカに整備されてありますが急激な為替変動が起きた場合には預託された証拠金以上の損失が発生する可能性があります。